「マティアスは金の壺を抱く」完結

 単純な物語にしよう、と画策して玉砕。そもそも彼らの土台がシンプルではない以上、最初から無理があったのだと気付くべきだったのですが、全部書いてみてから気がつきました。ええ、いつもこのパターンですよ。

 

 ずっと応援してくださった方々へ、感謝を込めて。

 一言でも感想などいただければ、ひっっじょうに嬉しく思います。言葉の足らない拙作に最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!

 

 いくつか、解釈として書き残します。前作「六花は夜空の冬に咲く」を未読の方には、その後の2人のネタバレ的な内容を含みます。 興味がある方だけご覧ください。 

  あとがきに代えて。

 

 

 

 マティアスはその後、災害時の視界確保の装置を開発する職に就き、安心して生きられる・すべてを見ることができる世界を構築すること、そして最愛の家族に一生を捧げます。

 遺伝子を受け継ぐことを危惧し、マティアスは子供を望まないのではなく(視覚システムがありますから)、なんらかの不測の事態に出会ったとき、見えないことで大切な存在を守り切れず失ってしまう、そんな過去の自分と同じ経験をさせたくないという考えで、彼は子供を持たない決断をしているとご理解いただければ嬉しいです。

 

 

 リッカは結局、凍結卵子を使いません。

 マティアスとの間に男の子と女の子の養子を迎えます。マティアスの考えは変わることなく、それでも自分が育った家族のような家庭を持つことを望み、リッカはその気持ちに寄り添った結果です。子供は2人、マティに似た男の子と、リッカと同じく親に捨てられた生い立ちの女の子です。

 

 お互いが変化しつつ歩み寄り、これからも家族の幸せはリッカさんが全力で守り抜きます。原動力は、マティアスからの弛みない愛です。永久的に飢えることのないエネルギーを動力として、世界の果てまで駆け抜けてくれることでしょう。

 

 ここまでご覧いただき、ありがとうございました。